『極楽金魚鉢』 切石智子

きりいし・ともこ 兵庫県西宮生まれ。
年齢不詳、とにかく、書かれたものを何でも読みたいとゆう衝動は、4才の時の「立ち読み」に始まる。幼児期に、リアルタイムで遭遇したジョージ秋山の「アシュラ」により性格はゆがめられる。片っ端から店内の本を読みあさるその姿に恐怖した本屋の親爺に出入り禁止を申し渡されるも、二駅先の別の本屋に遠征の日々。それに加えて、商売人の娘ゆえ、飯を喰うこと、釣り銭を数えること異常に早く、そのせいか、本を読むのも、原稿を書くのも早い。
中学から高校時代にマンガの同人誌にはまり、毎週コミケへ行きコスプレしまくる。また、「名勝負数え隊」で盛上がる新日本プロレスの長州力のファンとなり、神戸ワールド記念ホールなどに足繁く通う。さらにそれに加え、当時流行のハードロックにもかぶれ、アミタイツを破いたり、鋲モンの服を着用するが、一方では、熱狂的な細野春臣ファンと化す。大学にあがると、活動を始めたばかりのボアダムスやその周辺のバンドの追っかけと化し、ライブハウス通い。しかも、その「アシュラ」ゆずりのアタック精神ますます全開。切り絵芸やらイラスト描きにも才を見い出すのかと思いきや、チンドン屋と一緒に熱海の大道芸祭に出演したり、明石屋さんまのTV番組でアコーディオンを弾いたり、大阪のライブハウス店員や、マチ金のOLをやるかたわら、文章を書くようになり、東京へ。いつしか、音楽雑誌やCDライナーを書いたりするようになる。が、同時に絵のヌードモデルも続ける。
キューバへ行き、アフロ・キューバ・ダンスを国立民族舞踏団のアレクサンデル・バローナより伝授され、ダンス大会で優勝。キューバへ国賓待遇で招待される腕前を持ち、現在、数人のお弟子にダンスを教え金を稼ぐ。ちなみに、ラテン系イベントで、派手に踊りまくり、気がつくとステージの上で、まるでバンドメンバーのようにおさまって見える女こそが、切石智子である。
ある時は、ロリータ。ある時は、若き未亡人にも見え、その自由闊達&ハイテンションに人を驚かせるが、実は古風な女である。風呂に入るときも電車に乗るときも、本と音楽は手放すことはなく、ただただ人生勉強であると知る。現在、この『極楽金魚鉢』に引き続く短編小説『亀を放つ』を執筆中。多芸多才の驚くべき異能才女である。

〜「ウェイストランド 別冊 2000年・新人特別編集号」より〜